決算時の処理Ⅱ~短期前払費用の処理~

前回から引き続き、決算処理シリーズ第二弾になります。今回は、短期前払費用の税務上の取り扱いについて書いてみたいと思います。

短期前払費用とは

将来的にサービス提供を受ける(まだサービスを受けていない)部分も含めて、一括して前払いしたい費用のことを指します。

これらは、原則的には、役務提供(サービスの提供)が完了した時点で損金(経費)になりますが、支払った年度に損金(経費)計上しても良いという特例が定められています。

短期前払費用の例

具体的にどのような費用があるのかというと、例えば、家賃や保険料などについては、一年分を一括でまとめて支払うケースも多いのではないでしょうか。 税務上、当期の費用に計上できるかどうかは、以下の5要件を充足するかどうかで判断することになっています。 【要件】

(ア) 一定の契約に基づき

(イ) 継続的に役務の提供を受けるために支出した費用

(ウ) 支払った日から1年以内に提供を受ける役務

(エ) 継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているとき

(オ) 収益の計上と対応させる必要があるものについては後段の取り扱いの適用はない

法人税の取り扱いに関する詳細は、法人税基本通達2-2-14(短期前払費用)に定められているので、そちらを参照ください。

まとめ

この規定のメリットは適用初年度のみ享受することができます(対象が継続的取引に限定されているので、翌年以降は効果なし)。

要は数か月分の費用を前取りできるわけですが、適用するメリットよりもデメリットの方が大きくなってしまう例もあるので、適用タイミングについては顧問税理士に相談するようにしましょう。