近年、日本経済の基盤を支えている中小企業における次世代への世代交代がうまくいかず、廃業に追い込まれているケースが多くなってきています。そこで、今回は事業承継に関する最近のトレンドについて書いてみたいと思います。
納税猶予制度の活用
平成30年度の税制改正によって、納税猶予制度の特例制度が創設されたことは皆さんご存じなのではないでしょうか。この制度は、後継者に自社株式を移す際、本来かかるはずの税金をいったん猶予してもらい、一定の要件を満たした場合にその税金が免除されるものです。
この制度のメリットだけ聞くと素晴らしいと思うのですが、適用前と適用後における要件が細かく定められているため、この制度の活用はハードルが高いと言えるでしょう。
ただ、ハードルの高さを差し引いても、税金がかからないメリットは非常に大きいので、自社株式の金額が億単位の規模になっている中小企業などは、この制度の活用が有効になると思います(私見ですが、適用のラインはオーナーが保有する自社株式の評価額が1億円超~と考えています)。。
納税猶予に向けた組織再編
会社を複数抱えているオーナーの場合、納税猶予制度を適用するにしても、持っている自社株式すべてについて適用しなければなりません。いくつもの会社に面倒な税務手続きをそれぞれ行うのはナンセンスですよね?そんな時によく使われるのが株式交換という手法です。言葉で説明するとわかりづらいので、下のイメージ図を見てみましょう。
【図を挿入】
これで親会社のみに納税猶予を適用すれば、事業承継の完了となります。
まとめ
最近のトレンドとしては、組織再編を活用して資本構成を整理した上で、納税猶予制度により事業承継するケースが多くみられます。
ただし、享受できる税メリットは大きい一方で、税務リスクも高くなる手法ですので、まずは税理士に相談し、様々な要因を加味した上で、事前のシミュレーションを実施することをお勧め致します。