会社設立シリーズⅣ ~資本金の設定~

起業する際によく質問を受けるシリーズの第四弾として、資本金の設定をいくらにすれば良いかについて、影響のある税金と関連付けて紹介していきたいと思います。

資本金と消費税の関係

まず、消費税の免除に関する解説は、前回の「会社設立シリーズⅢ ~消費税の免除と事業年度の設定~」をご覧ください。そちらで解説している通り、設立2期目までの期間について、世の中のほとんどの会社は、消費税が免除されることになります。ただし、一定の例外規定が設けられており、その中に「資本金が1,000万円以上の会社」が含まれている点が、今回注目すべきポイントになります。

上記を踏まえた結果、消費税を節税するという観点では、資本金は1,000万円未満に設定することが望ましいと言えるでしょう。

資本金と均等割の関係

最初に均等割について、簡単に説明したいと思います。この税金は、会社の利益に関係なく、会社が存在する限り、地方自治体(都道府県と市区町村)に支払わなければならないものになります(赤字の会社も支払います)。

均等割の金額を決める上で、重要となってくる要素が二つあります。それは、①資本金等の額と②従業員数です。最も均等割が低いランクの会社は、「資本金等の額が1,000万円以下、かつ、事務所等の従業員数が50人以下」とされています。

つまり、均等割を節税するという観点では、資本金は1,000万円以下に設定することが望ましいと言えるでしょう。

資本金と中小企業の優遇税制

法人税法上、中小法人に該当するといくつかの優遇税制が適用可能になります。ここでいう中小法人になるためには、資本金が1億円以下であることが必須要件とされています。

具体的な内容には触れませんが、中小法人の優遇税制には以下のようなものがあります。

  1. 年間所得800万円まで軽減税率が適用可能
  2. 欠損金の繰越控除に制限なし
  3. 欠損金の繰戻し還付
  4. 年間800万円まで交際費が損金算入可能
  5. 中小企業投資促進税制による特別償却と税額控除
  6. 30万円未満の少額減価償却資産が損金算入可能

まとめ

ここまで説明してきた通り、資本金1,000万円未満であれば、上記すべてのメリットを享受することが可能となります。

ただし、金融機関からの評価や社会的信用力という観点からは、可能な限り、資本は厚い方が好ましいと言えるでしょう。

つまり、余程の理由がない限り、1,000万円未満の範囲で、可能な限り多くの金額を資本金として設定することが、最も望ましいと言えるのではないでしょうか。